2011年1月30日日曜日
The Beatles - Rubber Soul
最早、古臭いと形容できない現代ミュージックの定義を創ったスーパー・バンドの革命的作品である。
初期のアイドル的な恋愛ソング路線から、本作から様々な要素を取り入れギアチェンジしている。
壮大なオーケストラなど無くとも、シンプルで優れた名曲が満載である。
20代前半の若きジョン・レノンとポール・マッカートニーは更なる進化を追い求めている。
『girl』、『michelle』など異色なサウンドも取り入れる鋭いセンス。
ロックと程良いサブ・ポップが調和している。
Beatlesはシングル・カットも素晴らしいが、それを支えるエキストラ曲(B面)の方が個人的には輝きを放っていると思う。
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60s,
The Beatles,
ロック
Soundgarden - Down on the Upside
ロニー・ジェムス・ディオ在籍時のブラック・サバスと比較しがちだが、最初の2曲は初期(オジー・オズボン在籍時)の頃を彷彿させる。
サウンドは暗黒ダウナー路線から脱却し、比較的キャッチーになったと思う。
しかしどっぷり浸かったようなワウ、精神世界、非ポピュリズムと無機質なサイケ色は薬物をも彷彿させる。
サイケデリィック・ロックに相応しいリズム、音質、アティチュードは個性の一つではある。
だが本作でキム・テイルのヘヴィ・メタル志向に嫌気がさしクリス・コーネルは脱退する。
オルタナティブと60、70年代のサイケイズムは精通している証なのかもしれない。
個人的には「Superunknown」よりも本作のほうが佳作が揃っていて好きだ。
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Soundgarden,
オルタナティブ,
グランジ・ロック
Dissection - Storm of the Lights Bane
ビジュアル系4人組ナルシスト軍団。
ブラックメタル特有の凶暴的な話題性の為にジョン・ノトヴェイトが殺人を犯し活動休止となった。
しかしそれだけで片付けられない際立ったミュージックが本作にはあった。
クラシックのような構築美と北欧特有のメランコリー・ワールド。
孤独、恐怖、暴虐を想像させるような残酷なヘヴィ・リフとキャッチーなメロディが交錯する。
まるで彼らの内面をリアルに表現しているみたいだ。
プログレッシブ並みの展開に、荒れ果てた境地と光の世界が見え隠れするバランス感覚が素晴らしかった。
短所はバスドラにディストーションを浴びせまくり、全体がエコーに包まれたような悪音質が痛かった。
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Dissection,
デス・メタル,
ブラック・メタル
Orgy - Candyass
80年代グラム/インダストリアルを進化させたOrgyの衝撃のデビュー作。
ヘヴィなシンセサイザーが全体を統率し、コンピュータに支配されたノイズ・グルーヴが躍動する。
デジ・ロックとは何か違うような不合理で陰鬱なニュー・ミュージックに酔いしれてしまう。
個人的には、懐かしさが漂うテクノ臭な『Candyass』、『Gender』に填ってしまった。
Kornのジョナサンが見出したとは言え、全くリンクする要素がないのに、妙にアティチュードが類似しているように思える。
90年代のMarilyn Mansonとビジュアル系として比較的似通っていると思う。
終生のフェイバリットとは云えないが、鮮烈さでは際立っていた。
松井常松 - よろこびのうた
元Boowyのベーシスト松井常松の1stアルバム。
硬派なダウン・ピッキングが懐かしい。
Boowyとは無縁のような美麗なポップ・ワールドが炸裂する。
無名の女性ボーカリストが放つ孤高な世界は凄まじかった。
クラシックとボサノヴァの要素をも取り入れ、松井のソング・ライターとしてのポテンシャルの高さも覗える。
心に響き渡るようなアンビエント・ミュージックに終始圧倒されてしまった。
エンヤの世界に近いと思う。
素晴らしい傑作だ。
Korn - Life Is Peachy
エモーショナルの集合体、それは怒り、悲壮、ユーモラス。
様々な要素が融合したモダン・ヘヴィネスで攻めて来るKornの2ndアルバムである。
独特の重厚なディストーションが歪む爆音の中で入り混じる異質なグルーヴが印象的だった。
それらをパロディー化させ、調合し合った結晶が巧みに凝縮されている。
緊迫感の中で怒声とストレンジなコード進行が自然と弾け合い絶妙な攻防が繰り広げられている。
おふざけミステイクも巧い味付けで、一つのパーツとして機能する。
馬鹿とナルシシズムの関係を提示したような作品。
彼(ジョナサン)には現実は絶えがたいものだったのだろう。
2011年1月29日土曜日
At the Gates - Slaughter of the Soul
パンテラの「悩殺」と比較されたり、メロ・デスにカテゴライズされたりとモダン・ヘヴィネスをも凌ぐ勢いは圧巻としか云いようがない。
ルーツはセルティック・フロスト、ポゼスト、初期スレイヤー等、闇の帝王達が浮上する。
しかし彼らのリアルでの凶暴性を示唆するかのような強烈なサウンドには脳味噌が吹き飛ばされそうでありスリリングだ。
魂の叫びのような暴虐性とマシンガンのようなビートが小刻み良く衝突しあっている。
彼らが抱くフラストレーションをそのまま音として代弁し、聴き手にもその凄さが伝わってくる。
当時のラウド系の中でも、この異色なサウンドはやはり孤高の域だと云ってもいいだろう。
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デス・メタル
2011年1月28日金曜日
ユニコーン - ザ・ベリー・ベスト・オブ・ユニコーン
ユニコーンのベスト盤。
たくさんの素材をロックという枠の中で巧くミックスし独自の理論で定義している。
パンクだろうがパーティ・ロックだろうがアコースティックだろうが、最終的にはゴールへと辿り着ける。
各曲、イントロ、メイン、エンディングまでが明確に描かれており美味しく味付けされ、それぞれの世界観を堪能できるのだ。
おふざけから苦悩へと転換し、最後は人生の全てを総括しているようで、ひとつのストーリーを観ているような感覚だった。
そんな彼らを知るうえでは最高のアルバムだと思う。
オリジナリティでなくても格好良ければそれでいいのだ。
ベスト盤だろうが日本ロックの歴史に残る名作に間違いない。
Creed - Full Circle
初期Stone Temple Pilotsと90年代Perl Jamを想わせる。
そこまでの躍動感こそ感じられないが、壮大で小刻み良いリフが絡み合う。
大幅な軌道修正はないが、アメリカ人好みのモダン・ハード・ロックを維持させつつも未だに彼らが第一線で活躍する理由が何となく分かるような気がする。
インパクトが少々弱い分、勢いとグルーヴで巧みに交わし、エディ・ヴェダーに厚みが増したようなヴォーカルがサウンドをより強靭なものにしている。
グランジのような先鋭性は無かったが、オーソドックスなハードロックを骨組みとし、時折見せるドラマティックな空間を自然に肉付けできるあたりはさすがと云ったところ。
PIXIES - Trompe Le Monde
80年代のオルタナティブ・シーンを支えた立役者。
微々たるニューウェーヴ臭にCrashのような知性パンクの融合と歪みまくったギター音が痛快だった。
捻くれたエレキ行進曲と社会を見下したかのうようなアイデンティティに軽く鳥肌が立ってしまう。
パンク一直線ではなく、甘酸っぱいオレンジジュースのようなポップスと掻き混ぜ脳は錯乱する。
ヒップ・ホップのような脱力トーン・ボイスで最後は玉砕する。
彼らの術中に填ってしまった。
SUPER EGG MACHINE - vitamin Eggs
前身バンド左折事故では椎名林檎に影響を与えるほどの豪快ぶりだったが、本作では矢井田瞳路線で劣化していた。
PRINCESS PRINCESSなど誰かを辿ってやっと半人前と云ったところ。
ソリッドで不思議ちゃん系な世界観に包まれた藤井万利子に馴染みがあったせいか、彼女がこの程度のB級ポップスで満足しているとは到底思えない。
あの汗水垂らした福岡でのハート・ビートでのライブは蜃気楼と化していた。
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SUPER EGG MACHINE,
邦楽
Babes in Toyland - Spanking Machine
80年代シアトルのガールズ・オルタナの象徴と比喩したくなるくらいの凄みを感じた。
3コードか1コードの単調な不協和音に厳ついダミ声が混ざり合う衝突感が何とも逞しく図太い。
Sonic Youthでのキム・ゴードンやL7とかなり密接しているようだ。
迷いなく突っ込んでくるどころか、怒りと叫びから湧き出るメッセージが暴走マシーンの如く襲い掛かってくる感じだった。
シンプルなのだがダーティな世界に翻弄され、聴けば聴くほど病みつきになる。
女子とは思えないパワフル・ロックは圧巻としか言えない。
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Babes in Toyland,
オルタナティブ,
グランジ・ロック
2011年1月27日木曜日
Jerry Cantrell - Boggy Depot
Alice in Chainsの頭脳であり母体でもあったジェリー・カントレルのソロ・アルバムである。
彼が思い描く荒んだ世界は視聴するたびに濃密と化していく。
それがアルバム「Alice in Chains」を継承している。
ジャケットに描かれているように、この底なし沼に沈んでいく雰囲気と落ちていくようなダウナー・ロックがジェリーの心情を綴っているのだろう。
ダークネスと云うよりは病的空間と微々たる光の狭間で葛藤しているみたいだった。
レイン・ステイリー亡き今、Alice in Chainsの立役者としても、この路線で大人なロックを提示して欲しい。
しかし、この癖ッケある粘っこいアイデンティティは何となくデヴィッド・シルビアンを想わせる。
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Jerry Cantrell,
グランジ・ロック
Cocco - ブーゲンビリア
危険で個性的なアーティストというイメージが強かったが、至って大人しかった。
彼女が抱く陰鬱な世界を、ただポップ・ロックという枠の中で表現しているだけなのだ。
一部の層からの付加価値が彼女を増大なものにしてしまった。
悲壮で破壊的な歌詞を売りにしているが、ロックで見れば当たり前の表現法なのだ。
ただ、それら負の感情を全面に出しきり感情移入しているところが、彼女の魅力なのだろう。
長所は静と動を絶妙に使い分けることによって臨場感が増し、ダークな雰囲気のバランスが保たれていた。
しかし全体通して聴いてみると、一般から指示される要因であるようなCoccoワールドで情熱的なものは特に感じられなかった。
GRAPEVINE - Lifetime
小粒なパーツを調合し合い甘酸っぱいポップ・ロックが炸裂する。
際立った名曲は無かったが、独自の世界観を持っている。
何となくブリット・ポップを彷彿させ、ヴォーカルもそれに便乗しているような歌いっぷりは当時のブリット旋風の影響なのかもしれない。
彼ら無くしてはASIAN KUNG-FU GENERATIONやNUMBER GIRLなどのロック・バンドも輩出されることは無かったかもしれない。
Puddle of Mudd - Come Clean
外面は初期SilverChair、内面はStaireoを想わせる。
時に攻撃的、時に切なく、のらりくらりと脳味噌を揺さ振られる感覚だ。
シンプルでキャッチーで物凄く分かり易かったと思う。
アメリカ受けしそうな売れ線グランジ/モダンハード・ロックでありながらも一切の迷いなく己の信念を貫いていた。
刺々しさやフラット感は弱かったが、疾走しまくるパワフル・ロックは中々の良作だと思う。
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グランジ・ロック
NORAH JONES - Come Away With Me
さりげない囁きソングとは裏腹にスケールの大きいストーリーが奏でられていた。
何気ない普段の歩みは実は物凄い充実しているのだと訴えかけているようだった。
技術や歌唱などは語るまでもなく、ただ単にこのモダン・ジャズに浸るだけで良いのだ。
それが本来、私達が求めているミュージックではないだろうか。
本物が認められるアメリカという国の器の大きさを感じる。
ツボに入るまでには至らないまでも自然と入り込める感覚が心地良かった。
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ジャズ
2011年1月26日水曜日
東京事変 - 大人(アダルト) (通常盤)
脱オルタナを計ろうと音芸と歌謡・ロックで只管厚化粧をしている印象。
大人でダーティな世界へと誘い、必至に普通ロックからの脱却をアピールしてはいるものの全てが空回りだった。
ジャズや演歌調など本人が好きなのは分かるが、バランス悪い駄作ロックになっている。
ソロで過大評価された分、それらを取り戻そうと多種多用なアプローチはしているものの、元々センスが無いのだから焼け石に水なのだ。
彼女は阿川泰子+αや山口百恵路線を求めているのだろうが、この程度のレベルでは到底及ばない。
Fatboy Slim - You've Come a Long Way, Baby
トランスとミクスチャーの攻防が終始面白かった。
Beastie Boysの「Hello Nasty」をシンプルに進化させたら、こういう世界になるのだろう。
彼らのような豊富なサンプラーと巧みなアイデア戦略までに至らなくとも、ユーモラスとシリアスなデジタルなループのみでも十分に味わえる。
やはりDJ出身のような職人タイプがクリエイトするアートは個人的に否が応でも脳味噌が反応してしまう。
Beastie Boysみたいな卓越する技術はないのだが、構成力が抜群に長けている。
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エレクトロニカ,
ミクスチャー
鬼束ちひろ - ~THE ULTIMATE COLLECTION~
ジャズを取っ払った暗いジュリア・フォーダムを想わせる。
世界観を広めようと様々な視点からアプローチしながらも、鬼束ちひろ独特の悲しく葛藤して苦しんだ解答が描かれている。
ただそれら独自の理論が時折、使い回しして巧く噛み合わず、引き出しの少なさを露呈している。
しかし言葉とメロディの陰鬱さは力強いメッセージとして聴き手に伝わってくる。
シングルのみでは彼女を判断できなかった。
個人的には「シャイン」が良かったと思う。
ネタ切れしている昨今の彼女だが、本作で時折見せたような泥臭く、危険で大人な香りを放つ瞬間は魅力を感じる。
Misery Loves Co. - Misery Loves Company
インダストリアル・ハードコアを明確にした改革者。
咆哮とメロディラインを歌うボーカルがサウンドの核になり、ギター兼コンピュータがパズルを組み立てる頭脳となっている。
Fear FactoryとSYLとは同系統でありながらも、計算された勢いとダークネスな世界はやはり孤高の域だと云っても過言ではない。
本能と制御された暴虐性で表面を纏い、サビではツボに填るようなダーク・メローが交錯する。
初期Ministoryと初期Fear Factoryの美味しい部分を巧く使い分けている。
後半やや失速していくのが惜しかった。
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Misery Loves Co.,
インダストリアル,
モダン・ヘヴィネス
Paul McCartney - Press to Play
聴き手を巧く誘導させる術を知っている「ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家」。
商業ポップロックでありながらも惹きつけられる世界観は圧巻だ。
シンプル&キャッチーでユーザ目線でありつつも、ポールが作った迷路に陥り共感してしまう。
本能の中で巧くロジックが働き、洗練されたポップスを簡単にクリエイトできるセンス。
その中でもシングルカットされた「Press」は素晴らしかった。
しかし、80年代の傾向とは云えども、普遍的なアメリカン・ロックが少々退屈だった。
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80s,
Paul McCartney,
ロック
2011年1月25日火曜日
Plastik Man - Sheet One
デトロイト・テクノ老舗大御所DJの革命作。
1993年既に奇人は3次元の世界を描いていた。
これぞまさに現代エレクトロニカ、アシッドの原形であり主流となっている。
ユニット名通りのような透明感あるプラスティックのような音質。
静的な幻影さと耳障りの良いラフなリズム感が心地良かった。
アムステルダム・テクノのような荒々しさとは真逆な芸術的世界。
クラブ系というより、孤独に浸って注入したほうが美味しいとは思う。
脳内活性に最適であり、テクノ・ミュージックの一つの解答がここにある。
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Plastik Man,
エレクトロニカ,
デトロイト・テクノ
Moloko - I Am Not a Doctor
捻くれたデジタル音と怪奇的な臭いを漂わす女性ボーカルとの攻防。
ストレンジでシリアスな世界と微々たるユーモラスの7:3分けと云ったところだろうか。
90年代中期の4Heroのようなドラムン・ベースに女性ボーカルが加わる絶妙さ。
生のドラムとギターも存在し、バンド・アンサンブルとコンピュータの融合を逸早く実験していた。
それが後のBOOM BOOM SATELLITESなどに繋がっていった。
しかし、このボーカルのエロスと陰鬱と並行するようにフラット気味に脱線したりと中々の緩急術を披露している。
ある意味、危険作用を伴っているあたりが癖になりそうだ。
The Good, the Bad & the Queen - the Bad & the Queen The Good
ゴリラズ、Blurに続くデーモンの新バンド。
一言で云えば、「ごった煮」である。
過去の方程式を捨て去り、もう一度ルーツを辿り新たな理論を生み出している。
彼のアイデンティティは常に60年代や70年代に秘められているのだ。
孤独で寂しげな大人なロックに浸りたければお勧めの作品だ。
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UKロック
Captain Beyond - Captain Beyond
骨組みはフリージャズであり、プログレのようなドラマティック性とサビでの浮遊なコーラスが心地良かった。
例えるバンドが無く、正にCaptain Beyondという個性が華やかに放たれている。
強いて挙げるならば、MC5と初期Deep Purpleと「tommy」時代のThe Whoを足して3で割り複雑にした印象だ。
クラシックな構成と心に突き刺さるような切ないメロディと生々しいグルーヴィ・ロックが躍動している。
静と動のバランスが絶妙であり、変拍子が更に別の変拍子を生み出すトリッキーでスリリングな世界が圧巻だった。
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Captain Beyond,
フリージャズ,
プログレ
Wellwater Conspiracy - Wellwater Conspiracy
元Nirvanaのクリス・ノヴォセリックが93年あたりのMTV番組で「アンダー・グラウンドには凄いのがたくさんいる」と言ってたのを思い出す。
この作品を改めて聴いていると痛感する。
シンプルなロックから奏でられるアヴァンギャルドな雰囲気と、それに連なるドラマティック感と不思議なメロディが飛び交う。
80年代のアメリカナイズなオルタナティブと70年代後半のニューウェーヴとの攻防の狭間にトランス系のグルーヴまでをも詰め込む感性はさすがと云ったところ。
方向性が少々定まってはいなかったが、様々な素材をふんだんに使いこなしている。
とても一人のアイデアで表現できるものではなく、個性的な傑作が揃っている。
何故これほどの秀作が地下に埋もれているのかが分からない。
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Wellwater Conspiracy,
オルタナティブ,
グランジ・ロック
Alice in Chains - MTV Unplugged
彼此14年ほど聴いてるが、やはりAlice In Chainsのベストと云えば迷わずこれを上げる。
メタル色も悪くは無いのだが、アコースティックとダークな空間が不思議な怪奇世界を創っている。
ブルースも自然に填っており、安堵感を得た最果てには地獄が待っているかのような、仏教やカルトにも通ずる彼ら独特の雰囲気に終始支配されてしまう。
本作やアルバム「Alice In Chains」が好きな方はジェリーのソロも違和感なく入り込めると思う。
ビデオ(DVD)ではレイン・ステイリーとジェリー・カントレルのミニ・コントや『Sludge Factory』を冗談で止めたりしているが、この空間にはそぐわないと思うのだが、それがアメリカン・ジョークなのだろう。
素晴らしい名作に違いない!
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Alice in Chains,
グランジ・ロック,
ヘヴィ・メタル
Black Sabbath - Black Sabbath
周囲が騒ぐような「威圧感」や「恐怖感」は特に感じられず、シンプルなヘヴィ・ロックの中でクリームが即興で演奏している印象だった。
初期2作品はグルーヴ主体でオジーの存在は漬物みたいな感じであり、ストーナー系、ドゥーム系の教材となっている。
黒魔術や悪魔と云ったイメージは1曲目のみであり、残りはジェスロ・タルの延長線上だった。
ただ、これだけのシンプルなリフのみで何故格好良いロックがクリエイトできるのかがトニー・アイオミたる所以なのだろう。
「パラノイド」と「ブラック・サバス4」に比較的近い。
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ドゥーム・ロック,
ヘヴィ・ロック
2011年1月24日月曜日
Hall & Oates - Private Eyes
エンターテイメント抜きで、80年代洋楽においてのキング・オブ・ポップスは間違いなく彼らだと思う。
マイケル・ジャクソンはダンスありきであり、ミュージックとして堪能するまでには至らなかった。
激戦区だった80年代でも孤高であり、彼らの一つの方程式が散りばめてある。
個人的には『Unguarded Minute』の完成度の高さに圧倒されたが、それらを支えるエキストラ曲も素晴らしい。
80年代のポップスは彼らの独断場だった。
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Hall & Oates
Yes - ベスト・オブ・イエス (1970-1987)
1970年~1987年までのベスト盤。
ファンタスティックな浮遊グルーヴとポップが交錯する。
セレクトに少々不満はあるが、Yesを知る上では貴重なアルバムだと思う。
スリリングであり、切なさや儚さであり、プログレッシヴなどと云った余計な概念など無くとも純粋にポップスとして一連のストーリーを味合うことができる。
ハイライトでもある、四部構成『And You And I』は挫折から栄光へと転じるストーリー性が素晴らしい。
個人的には70年代初期で固めて欲しいとこだが、『Owner Of A Lonely Heart』は80年代洋楽ファンには溜まらない選曲だと思う。
人力が放つ最高のアート展覧会と云ったところではないだろうか。
Koma & Bones - Blinded by Science
冷めきった無機質エレクトロニカ。
レイブ系にも通ずる覚醒トランスは個人的には脳内活性としては格好のサンプルだ。
終始、怪奇的なシンセとコンピュータのループはトリップ作用と云うよりは集中薬みたいなものだ。
金属音ゴリゴリではなく、円やかなテイストが良かった。
DARREN PRICEの世界に近い。
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エレクトロニカ
Chevelle - Vena Sera
爽やかでお行儀良いDeftonesとToolを彷彿させる。
ミドル・チューンから放たれるヘヴィなギター・リフと繊細なヴォーカルがバランス良く重なり合っていた。
シンプルな構成の中でドラマティックな展開が緻密に練り込まれており、光と影が蠢く独特の世界観が臨場感増して、よりサウンドを強靭なものにしている。
Linkin ParkやTaproot系のファン層にはお勧めの作品だと思う。
ただ酷似したコード進行を多用し過ぎた分、リスナーによっては喰い付きは良いのだが飽きやすいかもしれない。
安室奈美恵 - PAST<FUTURE
ブラック系R&Bから少々イメチェンした印象だった。
安室奈美恵という一つのチームが巧く循環しているように思えた。
シンプルな構成にブリッジはヒップ・ホップで味付けしている。
表面はコンピュータとデジタルの攻防で、サビは濃厚でキャッチーなメロディを乗せて来る。
これまでの安室奈美恵とは少々違ったR&Bポップであるため賛否両論作となっているが、これは正しく進化だと思う。
意外と基本路線は継承しているし、彼女の個性的な歌唱力があるからこそ活かされる楽曲だと思う。
シングル・カットもリズミカルで耳障り良かった。
Howard Jones - Human's Lib
エレクトリック・ポップとニューウェーヴを独自の理論で解体し、世界制覇を成し遂げた衝撃のデビュー作。
大人な恋愛ストーリーを描き、自然と体内に響き渡るような見えない魔力を持っている。
大ヒットシングル『NEW SONG』を筆頭に佳作の宝庫で文句なしの名作だ。
後半も失速することなくクラシカル・コードに美麗なメロディを重ね合わせている。
天才とは正に彼のことを指しているのだと思う。
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ニューロマンティック
Night Ranger - Dawn Patrol
軽快なハード・ロックと切ないギター・ハーモニーとコーラス・ワークには胸を締め付けられそうになる。
Journeyのような浮遊感に、シリアスさとダイナミックさが加った印象だった。
美麗でインパクトのあるサビメロが少年期を思い出させてくれる。
90年代のテクニカル・バンドのようなひけらかし一辺倒ではなく、楽曲の流れに自然と織り込ませていた。
「Big Life」までの全てが名作であり、その中でも異彩を放った彼らのデビュー作。
このようなバンドは今後出てこないだろう。
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ハード・ロック
いきものがかり - ハジマリノウタ
縦ノリからバラードまで幅広いサブ・ポップが描かれている。
昭和を漂わす哀愁なメロディと軽快なフットワークが、このバンドのセールス・ポイントなのだろう。
個人的にはロック調な『じょいふる』がお勧め。
一見、若年層向けに思えるが、聴けば聴くほど奥深い人情ポップスのような世界が見えてくる。
最近のアーティストとは一味違った個性さを放っている。
中々の良作だったと思う。
Future Leaders of the World - LVL IV
ハード・ロックの中でグランジとモダン・ハードコアが踊っている印象だった。
バランス良い楽器群とダーティなカートコバーン風のヴォーカルが絶妙にフィットしている。
Dinosaur Jr.が真面目にシリアスな世界を描いているようだった。
緩やかなミドルチューンで固め、サビメロでは突き落とされていくような感覚が心地良かった。
ユニゾンとヒップ・ホップを絡めたりと、最近の若手の中では珍しく、たくさんのアイデアをこのコンセプトの中に巧く埋め込んでいる。
モダンなハード・ロック系ではあるが、リフとかを聴いているとルーツは90年代初期のデス・メタルを想わせる。
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Future Leaders of the World,
モダン・ヘヴィネス
Pitchshifter - www.pitchshifter.com
インダストリアル・デス・メタル路線を一転。
デジタルを駆使したデジ・ロックへと変貌し、時代の流行へと登りつめたデス勢唯一の出世頭。
とは言っても本作だけの話だった。
しかし楽曲やプローモーション等、全てにおいて巧く機能していたのではないだろうか。
コアなメタル層からして見ると、拒絶しそうなサウンドなのかもしれないが、インダストリアルを進化させた1つのジャンルを開拓した功績は大きいと思う。
ダイナミックで図太く、コンピュータとリズミカルなリフが体中に浸透していくような感覚だ。
初期衝動とは言えども、1998年、彼らは時代のニューヒーローとなった。
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Pitchshifter,
デジ・ロック
Pitchshifter - www.pitchshifter.com
インダストリアル・デス・メタル路線を一転。
デジタルを駆使したデジ・ロックへと変貌し、時代の流行へと登りつめたデス勢唯一の出世頭。
とは言っても本作だけの話だった。
しかし楽曲やプローモーション等、全てにおいて巧く機能していたのではないだろうか。
コアなメタル層からして見ると、拒絶しそうなサウンドなのかもしれないが、インダストリアルを進化させた1つのジャンルを開拓した功績は大きいと思う。
ダイナミックで図太く、コンピュータとリズミカルなリフが体中に浸透していくような感覚だ。
初期衝動とは言えども、1998年、彼らは時代のニューヒーローとなった。
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デジ・ロック
2011年1月23日日曜日
Pink Floyd - Piper at the Gates of Dawn
奇才アーティスト、シド・バレッド率いるモンスターバンドの1stアルバム。
エレクトロニカ、オルタナティブ、インダリストアルなどの先駆けでもある。
実験的なアート・ノイズとポップ・ロックが融合しあった魅惑なバイブル的な作品である。
不協和音からなるノイズが怪奇世界を巧く描いている。
サイケデリィックとしても世代問わずに影響を与えているのではないだろうか。
現代の多数なジャンルの切り分け的存在から考慮しても貴重なアルバムである。
シド・バレッド色が満載である。
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Pink Floyd,
プログレ
Cairo - Cairo
90年代AORハード・プログレの雄。
プロデューサー集団がパーツとなり奇跡の芸術作となった。
SEと楽器群との融合など、70年代プログレを彷彿させる。
プログレ・メタルとは異なった、テクニック志向を取り除いた美麗なクラシック・ポップが味わえる。
大人なロックからインスト中心のドラマティックな長編ストーリーも素晴らしい。
キーボードを主軸としており、構築美も然る事ながら楽曲のクオリティの高さも特筆するものがある。
Silverchair - Frog Stomp
オーストラリア産15歳のアイドル・グランジ小僧達によるデビュー作。
パール・ジャムやらメタリカ、ストーン・テンプル・パイロッツ、ニルヴァナと何でもありのオルタナ痛快サウンド。
ここまで気持ちよくパクれば文句のつけようがないのだが、15歳の少年達がクリエイトできるレベルではないと思う。
全米300万枚以上とは恐れ入るが、この大成功は彼らの苦悩の始まりでもあった。
スローで程よいキャッチーさがアメリカの一般の女性キッズ達を虜にした。
荒削りではあるものの、端くれティーンエイジが世界を席巻したのも紛れもない事実である。
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Silverchair,
オルタナティブ,
グランジ・ロック
Brand New Heavies - Brother Sister
当時、周囲はフュージョンと呼んでいたのが不思議だった。
個人的にはアシッド・ジャズかR&Bだと思っているが、様々な要素が入っているのでカテゴライズが難しい。
美しい声の女性ボーカルが無名でゲスト参加というのだから、90年代アメリカの女性アーティストのレベルの高さが覗える。
最近、打ち込みやループで面白くないR&Bだが、やはりこういう生のバンド形態が望ましいと思う。
ファンク、レゲェ、スカ、ジャズとありとあらゆるジャンルとリンクし、当時のバイブル的存在でもあった。
素晴らしい名作だ。
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Brand New Heavies,
R&B,
アシッド・ジャズ
NIRVANA - Nevermind
云わずと知れた全世界で1000万枚以上売れたモンスター作である。
説得力はあるのだが、アティチュード、カリスマ性、薬物依存などが先行し作品全体として聴いてみるといまいち真が掴めきれていない。
ソニック・ユースはそのアンバランスが売りなのだが、Nirvanaの場合は「らしさ」が感じられなかった。
従って初期のファンは去り、一般のリスナーよりに意図的に創られた印象を受けた。
ただ、その不整合さが時にポップであり、時に暴走パンクへと変貌するのも、彼らが言っていた「商業ロックの終焉」を意味しているのかもしれない。
得てして良くないと云われるとそうでもない計算された意外性あたりが、この魅惑ワールドを更に押し上げているのかもしれない。
それがカート・コバーンが持つ無限のキャパシティなのだろう。
悪ガキ痛快サブ・ポップは健在であり、当時の彼らを象徴しているような皮肉溢れたメンタリティが炸裂している。
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グランジ・ロック
Entombed - Out of Hand
変態爆音グラインド・ロックが炸裂しまくる。
「Wolverine Blues」は個人的にはリミックスより、オリジナルで勝負して欲しかった。
本腰入れたベスト盤で失敗し、こういうサイド・ビジネスみたいな企画盤で大当たりとは・・・プロダクションのセンスや方向性が理解できない。
それにしてもヤバすぎるくらいのアドレナリンたっぷりのパワフルなデス・メタルが脳味噌を抉り出されるようで快感だ。
本作で本来の彼らを堪能することができる。
格好良くて厳つい楽曲が揃った名作だ。素晴らしい。
Ministry - Filth Pig
ジャケからしてイカれている。
ドゥーム・ロックとコンピューター・ノイズで聴き手に襲いかかるような感じだ。
スリリング感満載で、重くて怪奇的なヘヴィ・リフが躍動する。
のらりくらりと攻められ、最後はノック・アウトと云った感じだろうか。
ややカルト的でありながらも独特のアイデンティティを持つ米国版八つ墓村とでも称しておこう。
Sonic Youth - Experimental Jet Set, Trash & No Star
無気力系のダウナー・ポップと歪んだギター・ノイズで圧倒的支配を増す病的ロック。
ダークなのだがハッピー・エンドだったり、排他的だったりと真を掴みきれない好い加減さが好きだ。
「音楽は芸術」とは彼らのことを指しているように思える。
アンダーグラウンドとはいえ、グランジ・ロックの開拓者たるオーラは流石だ。
汚い世界にぐちゃぐちゃにのめり込みたい人にお勧めの一品だ。
Labels:
Sonic Youth,
オルタナティブ,
グランジ・ロック
Elegy - LOST
プログレ・ハード・ポップの粒子的存在。
正直苦手の分野だが、何故か惹きつけられる世界があった。
この手のバンドはメロー過ぎてキャッチーで日本受けが良かった。
しかし光一辺倒というわけでもなく爽快感と悲壮感がマッチし、心に響き渡りエネルギーと化す。
B級路線かと思いきや、意外と独自の基盤を持っている。
後半の構成力や展開が素晴らしいし、ギターソロ楽曲の中で巧い具合に機能していたと思う。
Magma - Live
カンタベリー系ぽい即興オーケストラ。
リズミカルでファンタスティックなグルーブには、まるでトランス・トリップ文化のような幻覚作用に陥りそうな感覚になる。
個人的にはオペラ調は苦手な分野だが、それすらも忘れてしまいそうなジャム・セッションが心地良い。
東京ジャズフェスタを聴いている気分だが、1975年に既に最高でアツい音楽が存在したのは確かだ。
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