2011年2月27日日曜日

The Beach Boys - Pet Sounds

Pet Sounds  [from UK] [Import]

The Beach Boysの1966年発表作の13枚目のアルバム「Pet Sounds」である。
間違いなく60年代ポップ・シーンに革命を起こした作品に間違い無いと思う。
よくThe Beatlesの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」と比較されているし、ポール・マッカートニーも後のインタビューで認めていた。
団塊世代の青春ソングと称されてもおかしくない。
しかし現代ミュージックのルーツ、開拓者達の芸術ワールドに圧倒されることだろう。
80年代に翻弄され辿ってきた軌跡、そこには輝かしい本家達のポピュラー・ミュージックが存在した。
本作はその一部であり、消し去ることのできない歴史に残るサウンドだ。
癒し系コーラスと濃厚なポピュリズム、軽々しく論ずることは出来ない。

SLAYER - Diabolus in Musica

Diabolus in Musica

スラッシュ四天王であるSLAYERの7作目のアルバム「悪魔の鎮魂歌(レクイエム) - Diabolus in Musica (1998年)」である。
ベースは既存の突出性なスラッシュ・ビートが交差していた。
しかし漬物程度のお供え物とばかりにヒップ・ホップを取り入れていたことに驚いたのが第1印象だった。
一瞬ではあったが、奇跡のコラボを堪能できた。
華やかだった90年代初期、そして進化論を問われる本作。
少々、ギアチェンジしたものの基本的に何ら変わってない。
軸を振らさずに制限されたコード進行で、これだけのダイナミックな表現をできるとは圧巻だ。
SLAYERには衰退論なんてありえないのだろう。
怒れる大人と云うより、メッセンジャーなのだろう。
溢れ出すエモーショナルが堪能できる。
毎回違ったアプローチで圧倒するエネルギッシュなサウンドが素晴らしかった。

2011年2月22日火曜日

Black Sabbath - Heaven & Hell

Heaven & Hell

80年代初期に流行したしテクニック志向に溺れた中で後期の作品で唯一賛同したアルバムだ。
初期のオジー・オズボン時代を知るファンには納得できる内容ではないと思う。
しかしロニー・ジェームス・ディオのパワフルな歌唱力のみで全てが打っ飛んだ。
佳作レベルの楽曲をロニーの存在感のみで名作に仕上がった印象が強い。
本作は賛否両論的で、個人個人で評価は違ってくるだろう。
オジー論を出すのはフェアではないが、やはりBlack Sabbath名義である以上は初期を継承して欲しかった。
時代柄とは云えトニー・アイオミの感性と聴く側の感性にズレが生じたようにも捉えられる。
個人差はあるだろうが初期と比較するとインパクトが欠けていた。

WHITE ZOMBIE - Astro Creep: 2000

Astro Creep: 2000

恐怖政治とコントを混合させたかのような爆裂ぶりなWHITE ZOMBIEの秀作。
インダストリアル・ハードコアと形容するしかないのだろうか。
ジャケ裏面の珍獣が全てを物語っているように想えてしまった。
ユーモラスとスリリングが対極の異次元空間で衝突しあい、独特のポテンシャルで纏めあげる秀でたアート集みたいだ。
笑いと恐怖の世界から発作する陶酔の美学。
制御されたミュージックというよりも、爆発しまくった芸術だろう。
何故か改革者達には何か神がかったような凄まじいエナジーがあるのが不思議だ。
それが初期衝動なのかもしれない。
捨て曲が少々目立ったが、それでもこのカリスマ性のような攻撃性はさすがの一言だ。

Stratovarius - Fourth Dimension

フォース・ディメンション

ティモ・トルキ率いるStratovariusの4作目のアルバム。
個人的にはイングヴェイ・マルムスティーンの枝分かれ戦士にしか思えなかった。
本家が怒るのも無理はないはず。
前半はティモ・トルキのテクニカル自己満足世界でトーン・ダウンしてしまった。
ただテクニック信者には共感を得れる内容だったとは思う。
音を楽しむから音楽であって、それは創作側と聴き手で悪い誤差があってはならない。
後の作品で彼は某雑誌にブチギレたが、そのレビュー内容は本作へも訴えかけているようだ。
ただし、後半は素晴らしい楽曲が揃っていたのは救いだった。
批判するのもティモ・トルキが才能あるソング・ライターであるからだ。

Black Flag - The Process of Weeding Out

Process of Weeding Out

「Slip it in」は個人的には苦痛だった。
コアなパンクはギターノイズとグルーヴ感に浸れれば良いと思う。
感じる点は違えどもそこはデス・メタルと共通しているような気がする。
カリスマ?ヘンリー・ロリンズが居ないこのインスト盤こそお勧めの逸品。
薬物でトリップしまくったような脱線するギター・ノイズやポリリズム・セッション。
80年代オルタナの教祖は健在だった。
トランス・ノイズやサイケにもある覚醒や興奮作用が、このグルーヴィ・マシーンからも発せられる。
パンク盤ジミー・ヘンドリックスと比喩したくなる掘り出しモノだ。

Soft Machine - Six

Six (Reis)

ソフト・マシーンの6枚目のアルバムである。
ミュージックが及ぼす影響力は多種多様である。
癒し、怒り、高揚、覚醒など不思議な力を持っている。
本格的なフリージャズと化した彼らの最高傑作であろう。
ライブテイクがフルアルバム化した感じだ。
それがアドリブ主流の本来のスタイルなのだろう。
思うがままに疾走し、リズミカルに表現する。
個人的に右脳に概要が入り、左脳にフローが映像化される。
もはや味わう感覚とは違った得体の知れない特効薬と云った感じだ。
勿論、ミュージックは各々楽しみ方がある。
違った環境、時期などで、また違った楽しみが出てくる聴き手の勝手な特権を与えてくれるフリーダムなロックが爽快だった。
それがSoft Machineの個性でありミュージックなのかもしれない。

Japan - Tin Drum

Tin Drum

ジャケットどおりサウンドも中国一色に染まったデヴィッド・シルビアン率いるJapanのラスト・アルバム。
世界一のアジアン・コレクターと想えてしまうほどデヴィッドは我々の想像を越えた世界を描いている。
坂本龍一とよく連動するデヴィッド・シルビアン。
「孤独な影」にあった陰鬱でダークネスな世界観は何処へやら。
しかし病的グルーヴ、独特のナルシシズムは毎回違った形で表現してくるところが凄い。
絶妙な魔力、それはどのようにして生まれるのだろうか。
卓越した感性、いやそれは変人/偉人が持つ領域だろう。
そのフラットなボキャブラリーが80年代初期に日本でアイドルとして定義されていたことに驚嘆してしまう。
庶民化ポップとは到底結びつかない不合理さと、この難癖のある粘り気こそオリジナリティの原点とは恐れ入った。
サウンドの屋台骨、化け物テクニシャンことミックカーン氏が大人しく観えるくらいデヴィッドの支配力が圧倒した傑作集だった。

2011年2月20日日曜日

Aphex Twin - Richard D. James Album

Richard D James Album

変態と芸術は一体化するとは正にこのことではないだろうか!?
ジャケから連想するように怪しさ満載のデジタル・ビートが炸裂する。
魔界とコンピュータが連動したような失楽園を想像してしまった。
柔らかくて透明感あるシンセが全体を包む中、猛突進してくるドラムン・ベース。
癒しと攻撃でのらりくらりと伝染し、聴き手を圧倒させる世界観が絶妙だった。
金縛りに遭ったような感覚で耳に押し寄せてくる強烈な電子音。
煩いのだが、リズム感と透明感に包み込まれているバランスが素晴らしい。
異端児の革命と暴虐に溺れてみたい方は挑戦されるべし。
発想の凄さも然ることながら、アヴァンギャルドな包容力と殺傷力のあるようなデジタルとの対比が凄まじかった。
エレクトロニカという定義では収まりきれないこのコンピュータ・ミュージックは、歴史に残る名作に違いはないだろう。

Led Zeppelin - Physical Graffiti

Physical Graffiti

70年代最も成功したロック・バンドであるLed Zeppelin。
ライブ盤を見ても分かるようにサイケデリックな演出が満載である。
本作もそんな要素がある。
「歴史は繰り返される」と同じく音楽にも同様の連鎖がある。
テクニック志向の先駆けではあるが、アルバムにおいては聴き手の論理を熟知しているようだ。
そこは、このバンドの頭脳であるジミー・ペイジのポテンシャルなのだろう。
ドラッグを彷彿させるワウとループの緩急術で攻めて来る巧さが光っていた。
独特の浮遊感で輝き放つミステリアス。
佳作級の粒子が揃い、新たなLed Zeppelinワールドが堪能できる。
静と動が見事に構築された歴史に残る名作だ。

Henry Cow - Leg End

Leg End

終始スリリング且つ穏やかでアヴァンギャルドな世界。
陶酔空間、創造性を向上させるフィット感、興奮作用。
様々な用途として楽しめる要素を備えている。
奇才プログレの雄、ヘンリー・カウの73年ヴァージン作。
お行儀良い不協和音は真夜中に聴くと物凄い効能と化す。
味わったことのない世界へと導かれる不思議な力。
汚染されていないフラットな優等生なグルーヴは圧巻だ。
高次元な構築美に餓えている貴方には最適の1枚となるはず。

Nirvana - Bleach

Bleach

ソリッドで荒々しいギターとノイズ・グルーヴ。
未完の帝王Nirvanaはその才能を存分に開花させた。
彼のアティチュードや影響を与えた音楽、そんな経緯が放つ爆発力。
シンプルなメロディに潜む難解さ、近寄りがたい疾走感。
まるでカート・コバーン自身を表現しているようだ。
荒削りなロックが逆に覚醒する自由な世界。
毎日聴くには及ばないものの、何故か不思議な力に誘導されていく。
クソガキ共のダウナー・ロックは世界へと旅立つ。

MY BLOODY VALENTINE - Isn't Anything

Isn

薄っぺらな単体されど芸術。
無気力ポップが心臓に突き刺さるような妙な感覚。
理論では現しようの無いストレンジ・ミュージックだ。
パンクが爆発炎上し、この方向性ないクリティカル・ポップはオルタナティブというモンスター・カルチャーを創ってしまった。
多面性且つユーモラス。
それは容易に創造できない失楽園だった。
美と破壊の構築、それは単なる付着物に過ぎないのだろうか!?
一度填りだすと抜け出せないような、この魅惑なオルタナティヴ・ロックは、やはり素晴らしい作品だ。

Japan - Gentlemen Take Polaroids

Gentlemen Take Polaroids

ファイナル・ファンタジーのサントラにも通ずる透明な世界。
ビジュアル/グラムの星は孤高の存在へと進化した。
短期政権でありながらバージョン・アップしていくナルシスター達。
自身の中で思い描かれる残像に酔い浸れる心地良さ。
正に彼らの魔術に填って沈んでいくようだ。
過去の背景、創作された世界と何にでも陶酔してしまう悲しい展開は残酷すぎる。
しかしそれも彼らの美学であり、そこで体感できるのがミュージックなのかもしれない。
誰も辿ることができないエリアへ彼らはいとも簡単に到達し消え去った。
幻影なる世界へと・・・。
名作である。

Nine Inch Nails - With Teeth

With Teeth (Dig)

電子ミュージックの申し子であるトレンド・レズナー。
我が道を行く改革推進派は限界を知らない。
感じたままを己の感性でダイレクトに表現している。
それが評価されている現実。
魅惑な電子ノイズが錯綜し体全体で感じ取る何とも云えない感覚。
簡単そうであるが、誰しもが成し得ることではない。
それらが起こす反動が爆発したとき潜在意識に伝わる快楽感。
リスナーの心を掴むというよりは斬新なアイデアを我々の脳裏に刻みこませているようだ。
オリジネーターであり知性派でもある。
ミュージックが与える多大な影響、それは3次元をも超越する幻影世界だった。

Os Mutantes - Os Mutantes

Os Mutantes

言葉なんて必要ない、感じ得るものそれがミュージック。
と云わしめたとは大袈裟だろうか。
ワールド・ミュージックにカテゴライズされているムタンチス衝撃の68年デビュー作。
ビートルズの「サージェント~」を意識しているらしい。
様々な要素、相互リンクの面白み、ロックの可能性、シーンに与えた影響ははかりしれない。
非ポップな民謡ロックだがサイケデリックなトランス感覚は病的である。
軽率に扱っていると大痛手を喰らう、噛めば噛むほど味わえるアートほど怖いものはない。
こんな作品が世界の何処かで埋もれているとは驚きだ。
暴走するメロトロンが素晴らしかった。

2011年2月18日金曜日

David Sylvian - Brilliant Trees

Brilliant Trees

不可能な異次元ポップであり病的区域。
初心者にはお勧めできないような覚醒しそうなダークさは相当なものだ。
ミュージックに潜む魔力が最大限に達すると奈落の底へと突き落とされるだろう。
ナルシストな人間が陥った最果ての地はDavid Sylvianの儚い精神世界を現しているように想える。
そこから先は聴き手各々が感じるものであり、暗闇の中を彷徨った後はデヴィッドの魔力に圧倒されてしまう。
例えるジャンルが無く、ダークネス・ジャズと比喩したくなる。
悲壮な世界は実は魅惑なサウンドだった。
だが、そこは失われた楽園のように想えてしまった。
素晴らしい名作に違いない。

JIMI HENDRIX - Axis: Bold As Love

Axis: Bold As Love (Bonus Dvd) (Dig)

JIMI HENDRIXがソングライターとしてのスキルの高さを誇示させた驚異の2ndアルバムである。
ライブ・バンドとしてのカリスマ性は抜群のものではあったが、更に楽曲の質も格段にパワーアップした。
ファズテイストな音質がサイケデリィックな空間を作っているようだ。
しかしそれがロック・アーティストとしてのJIMI HENDRIXの資質を高めている。
ギターを持っていないときの素の彼は挙動不信者だったらしいが、それこそ技術職人の人間性なのだ。
職人的感性とエモーショナルが最大限に衝突しあい異空間へと引き込まれる感覚。
やはり天才は本能のまま突っ走る。
素晴らしい作品だ。

2011年2月16日水曜日

Misery Loves Co. - Not Like Them

Not Like Them

Misery Loves Co.の2ndアルバム(Not Like Them)である。
洗練された前作と違い、フラストレーションをストレートに楽曲に付加させている。
暴走するボーカルや病的な暗黒魔界のようなダークなメロディが印象的だった。
最初は取っ付き難いが、ある程度視聴すると彼ら(Misery Loves Co.)のメッセージが伝わってくる。
インダストリアルな要素は少々薄れ、精神世界にリンクするような世界に魅了されてしまう。
1stアルバムの方向性を指示する方にはお勧めはできないが、Misery Loves Co.の本心は実は本作に込められているように思えた。
中々の良作だった。

2011年2月14日月曜日

The Beatles - The Beatles (The White Album)

The Beatles (The White Album)

The Beatlesの最高傑作の一枚。
しかしジョージ・マーティンは「1枚にまとめて発表するべきだった」と嘆いていた。
ただ個人の個性がこれまでにないくらい強調され、バラエティに富んだ宝庫作へと進化したと思う。
60年代ロック界の切磋琢磨から生まれたこの作品 (The White Album)は現代音楽を明確にした傑作には間違いない。
個人的には「Happiness~」の異なる3つの曲を1つのタイトなロックとして表現できたことに驚嘆した。
先鋭で排他的なジョンレノンに対し、それを包み込むようなポールのポピュリズム・ワールド。
正に当時の彼らのメンタリティを象徴しているような作品に思えてしまう。
アコースティックな空間だが現代音楽のベースがしっかりと提示されている。
音楽史に残る数少ない名作の一つに間違い無い。

2011年2月12日土曜日

Stone Temple Pilots - Tiny Music...Songs From The Vatican Gift Shop

Tiny Music...Songs From The Vatican Gift Shop

本来の進化論を定義してくれたナイスな作品。
根底のヘヴィ・メタル色を脱ぎ捨て痛快サブ・ポップと変貌した。
スルメイカのように噛めば噛むほど濃密な味が出てくる。
コンピューターやインダストリアルなどに逃げたアーティスト群への反論メッセージにも思えた。
シンプルに構成されたポップ・ロックであり、自然と彼ら(Stone Temple Pilots)の描く大人な世界を味合うことができる。
しかし世代感は関係無く様々な視点で堪能できる。
楽曲の纏まりも然ることながら、ヴォーカルのスコット・ウェイランドの声が前作とは別人のような七変化を遂げている事に驚嘆した。
素晴らしい作品だ。

2011年2月11日金曜日

Dream Theater - Awake

Awake

苦手系のバカテク集団ではあるが、リスナーを惹きつける魅力は大したものだ。
結局、プログレッシヴで枝分かれする要因は過度なテクニックに溺れるか、様式美を主としたアヴァンギャルドな世界を表現するか。
そこにインパクトがあれば大作となる可能性がある。
楽しみ方も人それぞれなのだろう。
本作はモダンな要素を取り入れつつも、ごく自然体に彼らが描く様々な想いを音として純粋に感情移入している。
後半のケヴィン・ムーアの失恋世界は底なし沼のような悲壮世界に強烈に吸い込まれていく感覚だった。
個人的には90年代を代表する名作だと思う。
本作までと云えばそれまでだが、ケヴィン・ムーア抜きの彼らは無力だった。

2011年2月9日水曜日

Queen - Queen

Queen

ロック・オペラの代表格であるQueenの衝撃のデビュー作。
60年代後半のクラシック・ロックとは少々異なって、シンプルなロックの中にストーリーが練り込まれている。
様式美の中で構成、演出、グルーヴが堪能できる。
ロックの分岐は多々あるが最早ここまでくると脱帽だ。
表現者としての独特の世界に何となくだが魅了されてしまった。
全てを受け入れるまでには至らないが、あの当時でこれほどのスキルを発揮できるポテンシャルは圧巻だ。
逆にあの激戦区だった当時だからかもしれない。

PEARL JAM - Vitalogy

Vitalogy

某メタル誌で伊藤政則氏が酷評したPEARL JAMの最高傑作アルバム。
彼個人が抱く主観のみのレビューで危うくグランジ・ロックを素通りする所だった。
伊藤氏曰く「70年代のパンクにはそれなりのパワーがあったが、本作は生理的に受け付けない」
そもそもメタル誌にレビューされること事態が間違いである。
彼のレビューを読まれた方は、そこでPEARL JAMというバンドを聴き逃す危険性も多々あると思う。
点数制度は結構だが、ライターと云えども価値観の違いがあるのだ。
某誌は直ぐにオルタナティブやモダン・ロック専門の山崎氏を起用した。
そこにオルタナティブやパンクと通じていようがいまいが格好よければそれでいい。
シンプルではあったが、彼らの悲痛なる叫びと暴虐ロックが胸に染み込むようなエナジーを感じた。
個人的にはPEARL JAMの最高傑作だと思う。
某誌はヘヴィ・メタルにそぐわないオルタナティブ勢を散々酷評し独特の理論で貶し害した。
その責任は極めて大きい。
本来であれば日本でもオルタナティブ旋風は起こっても不思議では無かったのだ。
もしNirvanaが存在しなかったら、日本のロック危機はもっと酷い状態になっていたのではないだろうか。

2011年2月8日火曜日

Yes - Relayer

Relayer

『ロンリーハート』のイメージが強いが全くの別モノ。
犬猿の仲であったPink Floydがシンセサイザーをメインとした雰囲気重視で表現するタイプであるとするならば、Yesは人間の最大限の力と技と心が見事に一体化した表現者でないだろうか。
スリリングな展開と交じり合うグルーヴ、それは聴き手すらも飲み込むようなスペクタル・ハード・ポップだった。
リズミカルでキャッチーなメロディーは光輝く世界へと導いてくれるようだ。
80年代はニュー・ロマンティックに転換したとは云え、本作は技術者集団のアートが垣間見れた傑作集であり、クラウトやカンタベリーに属さないバンドが存在したことに驚いた。
やはり70年代のYesは最強である。

Obituary - World Demise

World Demise

やはりアレン・ウエストの世界は独特だ。
ジョン・ターディのデス声で馴染めなかった人も多々いると思われるが、デス・メタルはリフと構成や展開ありきだと思う。
中身はシンプルなミドル・テンポのヘヴィ・メタルなので聴き易いと思う。
更にデス・メタル特有のデス声とグルーヴの論理を玩具のようにして遊び廻る発想が覗える。
普通のロックやメタルでは味わえないダークな世界をリアリティ溢れる爆音で具現化できる奇才ぶりはさすがだ。
シックス・フィート・アンダーは危険薬物と化しているので、彼の本領を知りたければ本作が最適かと思われる。

Anthrax - Stomp 442

Stomp 442

「オルタナティブに魂を売った男達」とナイスなキャッチ・コピーを某メタル誌から頂いた賛否両論作。
元々、Anthraxは流行色を取り入れる傾向があった時点で、個人的には見事なシフト・チェンジだと思っている。
サイド・プロジェクトとしての選択肢もあったが、それをあえてAnthraxとして定義することに批難が集中した。
しかし小刻み良いギター・リフと、佳作級のゴリ押しサウンドで体が自然と反応する。
スコット・イアンが毎回描くノリ重視であり、それだけで十分味わえる。
迷いが消え去った分、単純に格好良いと思えた。

2011年2月6日日曜日

Cream - Disraeli Gears

Disraeli Gears

基本的にライブを糧にして本領を発揮できる異才3ピースのフル・アルバム。
まるで3人の思いが凝縮されたかのようで、悲しかったり、ハッピーだったり、励まされたりと様々な面を堪能できる。
これがブルースとフリージャズから湧き出てくるエナジーなのだろうか。
歌詞よりも独特のメロディーとブルースが合わさったイメージだった。
Creamの作品の中ではポップ・ロックよりな違った雰囲気だったが、それが見事に填っているから凄い。
従ってグルーブを感じるというより楽曲にどっぷりと浸かってしまった印象が強かった。
ジャック・ブルースの泣きのヴォーカルとエリック・クラプトンとのハモリも最大の演出でお見事の一言に尽きる。
60年代のアナログ空間は何度聴いても素晴らしい。

Fear Factory - Soul of a New Machine

Soul of a New Machine (Bonus CD)

メロディック・デス・メタルをボーカルという視点で表現した唯一無二の開拓者バートン・C・ベル率いる彼らのデビュー・アルバムである。
本作では咆哮と歌のギア二つだが、後にダミ声を加えた3パターンの使い分けは後続者達に多大な影響を与えた。
闇世界の中で図太くて煩いマシンガン・ビートと対極にあるメローな歌との対比が素晴らしい。
ブルータルな残虐性の中で飛び交う核弾頭のようなリフからサビのメロディを切なく歌い上げるバートンの威圧感に終始魅せられてしまった。
インダストリアルとラウド・ミュージックの融合を実験の中で調合させるセンスの良さ。
まるで子供が無心にパズル・ゲームのピースを埋めているかのような迷いの無い攻撃性が圧巻だった。
それと強靭な咽喉でなければ不可能な領域を平然と放つバートン・C・ベルが際立っていた。
楽曲が多いが、捨て曲無しの革命的な作品である。

Gary Moore - Blues for Greeny

Blues for Greeny

彼の師匠であるピーター・グリーンのカバー集だ。
ブルース・ワールド全快だ。
③、⑧、⑩あたりのスローでエッヂのあるアグレッシヴなブルーズィ・ロックのほうが享楽の境地へと酔いしれる。
ハード・ロックよりもブルース系のソリッドなギターソロのほうが刺激的だった。
それはイングヴェイ・マルムスティンがジミー・ヘンドリックスのカバーをやっている背景と同じ感覚に思えた。
個人的にゲイリー・ムーアにはもっとBBMみたいな60年代のブルース&ロックをやってほしいところだが、それを全編通して本作で追求するのは無理なのだろう。
しかし厳ついブルースを追い求めている方にはお勧めの作品だと思う。

Stone Temple Pilots - Core

Core

90年代グランジ・ロックとは多少異なったヘヴィ・メタルよりなStone Temple Pilotsのデビュー・アルバムである。
90年代後半から続くモダン系であるハード・ロックなどの教科書のような優秀な楽曲が揃った名作だと思う。
メジャー進出を果たしたオルタナ勢の中で、一番の遅咲きでありながらも決して劣っていない。
ラウド系、パンク系、どの系統にも属さない異才な光りを放っている。
80年代オルタナシーンのバンドからはバッシングを受けながらも、ジョー・エリオットやジョン・ボン・ジョヴィなど、多くのアーティストから絶賛を浴びていたのが印象的だった。
程よいメロディアスさとスコット・ウェイランドの七色ハスキー・ボイスに翻弄されてしまう。
素晴らしい名作に違いない。

Alice in Chains - Dirt

Dirt

内面はブラック・サバスで包み隠し、表面は狂ったレッド・ツェッペリンと云った印象。
好き嫌いの激しいカート・コバーンが嫌っていたバンドの一つでもある。
薬物依存で他界したレイン・ステイリー率いるAlice in Chainsの2ndアルバムである。
ジェリー・カントレルのギター・ソロはピンポイントで巧い具合に突出してくる。
一風変わったアメリカン・へヴィ・ロックと云った感じだった。
ダウナー過ぎず爽快過ぎずだが、根底に抱えているものは苦痛な精神状態に思えた。
二人の対極するコーラスがこのバンドの特徴だと思う。
前半は無邪気に突っ走り、後半は怒りと悲痛が衝突し合うようなアヴァンギャルドな世界がリアリティに溢れた名作となった。
やはりレイン・ステイリー無しでは語れないアリ・チェン黄金期であり、ヘヴィ・メタルにも通ずる怪奇さは孤高の存在と云っても過言ではないだろう。

2011年2月4日金曜日

Napalm Death - Fear Emptiness Despair

Fear, Emptiness, Despair

無作為いに暴走するパンク志向を一転。
濃くのある帝王サウンドが世界を席巻する。
シリアスなサスペンス劇場のような暗黒美に聴き手は恐怖心から陶酔へと変わっていく。
劇的な展開と洗練された構築美をシンプルなグラインド・ロックとして纏め上げている。
そこまでのスキルがあれば楽曲の質も自ずと上がり、若かりし疾走マシーンは更なる領域へと進化した。
個人的には彼らの中でベストだと思う。
慣れるまでには時間を要したが、そこから先は不思議な感覚を得るだろう。
コアな支持者達には賛否両論だろうが、一般層にも訴えるパワーが漲っている。
ダークな世界に酔いしれるには最適の1枚。

Oasis - Definitely Maybe

Definitely Maybe

200円で購入した中古品。
その価格で安心するような駄作曲が満載だった。
逆に200円の質しかないと捉えられてもしょうがない。
ビートルズをもコケにする彼らの意図は理解し難い。
全部を聴くのは辛いとしか言えない。
2曲ほどまともな素材もあった。
後に佳作をクリエイトしていく準備段階と考えれば、この内容でもしょうがないのだろう。
メジャー・レーベルが喜びそうな商業ポップ迷作集。

セックス・ピストルズ - 勝手にしやがれ!!

勝手にしやがれ!!

暴言ったぷりの爽快ノイズで突っ走る不良軍団の歴史に残る名作アルバム。
演奏技術が高いプログレッシヴ・ロックなどがピックアップされる激戦区の70年代に下手でも表現できる可能性を示した反体制改革バンド。
オルタナティブやグランジ・ロックの原形を堪能できる。
しかし個人的にはアティチュードには惹かれるものの、それを音楽としてアルバムで感じるには無理があった。
だがリアルタイムで味わっていれば違った評価になったかもしれない。
70年代の異端児達は伝説となった。

The Byrds - Fifth Dimension

Fifth Dimension

60年代を代表する浮遊なコーラス・バンドと云えばThe Byrdsではないだろうか!?
透明感ある名曲『霧の8マイル』を筆頭にYesがカバーした『why』、『I See You』などメロディ・ラインの素晴らしさに驚嘆してしまう。
しかしボブ・ディランのバックボーンが離れないせいか、上記以外のメッセージ性を表現できるポテンシャルはあまり持ち合わせていないように思えた。
ただ60年代のポップ・シーンを作り上げたバンドには間違い無い。
その影響力は大きい。

Stone Temple Pilots - Purple

Stone Temple Pilots - Purple

デビュー作で大成功を収めたStone Temple Pilotsのセカンド・アルバム。
2年目のジンクス同様、音楽の世界にも2作目のジンクスは存在する。
しかし、そんなプレッシャーなんて彼らにはお構いなしの逸品に仕上がった。
少々ポップ志向にギアチェンジしたスコット・ウェイランドの努力も一聴の価値がある。
基盤はAlice in chains同様メタルではあるが、様々な要素とロックを紐付けている。
慣れ親しみやすいキャッチーなメローとリフが飛び交うポピュリズムな空間に翻弄される。
このポップ・ロックは一般層にも響きわたるエナジーがあると思う。

2011年2月3日木曜日

Area - Maledetti

Maledetti

ジャケの通りイカれた変態プログレ野郎共の77年の5作目。
本能のままに表現する芸術、エロス、覚醒、気狂いアートと併合し暴走するシンセ。
不協和音と流れるようなフリージャズ。
エレクトロニカ・ミュージックにも通ずるループと電気音。
違いはアナログとコンピュータだろうか。
『Scum』のコード進行、グルーヴ感、ウッドベース、鋭い切り込みに圧倒されてしまった。
ミュージックの新たな一面を垣間見ることができた。
情熱的な芸術世界は流石だ。

Beastie Boys - Ill Communication

Ill Communication

多彩な要素を持つヒップホップ・ミクスチャー3人組の4thアルバム。
ダウナー、無機質、シリアス、スリリングとありとあらゆるエモーションで攻めてくる。
サンプラーと生楽器の合体も当時柄珍しいパターンだったのではないだろうか?
ヒップホップはコンピュータのループ一辺倒でなくカラフルであるべきとのメッセージにも思える。
ミクスチャーをフューチャーした功績も然ることながら、24曲と膨大な肉付けも大したものだ。
黒人シーンの特権であったラップ・カルチャーを逸早く積極的に取り入れ、ようやく実った秀作となった。
ハイスペックな3馬鹿トリオの最高級マシーンをご堪能あれ。

2011年2月2日水曜日

ダリル・ホール&ジョン・オーツ - フロム・A・トゥ・ONE

フロム・A・トゥ・ONE(紙ジャケット仕様)

音楽は古き良き時代を蘇らせてくれる。
その魔力は音楽そのものの醍醐味の一つだと思う。
聴いていたタイミング、感情、アティチュード、恋愛・・・様々な要素が絡むのは必須で各々により異なってくる。
それを教えてくれた80年代王道のトップを走り続けたホール&オーツのベスト盤だ。
ブラックポピュラーとの融合も云うまでもない。
廃盤と化した曲にも逸作があっただけに残念だが、それでもA面中心の構成でこれだけのアートが味わえる。
私のミュージックの原点であり、それは揺るぐものではない大切な資産だ。
教科書を論評している感じだが、自然に入れる感覚は分析のしようがない。
それが本来得る感性でありミュージックの本質なのだろう。

PFM - Photos of Ghosts

Photos of Ghosts

イタリアン・プログレ・バンドの重鎮であるPFMの歴史に残る名作。
時折、グラム系のような遊びと静寂な世界が交じり合う。
透明な空間が全体を包み隠す中で奇怪なメロディとポリリズムなテンポが特色あるストーリーを創っているみたいだった。
柔らかくシリアスな劇的なポップが流れて行き、何時の間にかファンタスティック・ワールドのような終焉を迎えるストーリーに感動してしまう。
最初から最後まで聴き手を巧く誘導させる魔法のような手法が圧巻だった。
このポップな部分は後のニューロマンティックやグラム系にも影響を与えたのではないだろうか。
クラシカルだが、完璧の一言に尽きる。
正にプログレッシヴ・ロックだった。

Killers - Murder One

Murder One

90年代正統派ヘヴィ・メタルの象徴的な作品、元アイアン・メイデンのボーカルだったポール・ディアノのソロアルバム。
厳つい出で立ちと同様にサウンドもヘヴィで威圧感たっぷりで奇襲して来る。
アイアン・メイデンとは比べるまでもなくアグレッシヴに成長していた。
内容も過去の栄光に頼らずとも激アツで血管ぶった切りそうなパワー・メタルを展開している。
強靭な楽曲にヘヴィ・リフが重く圧し掛かるような感覚だった。
メタル特有のパワー・バラードは当時の彼にしか書けないだろう。
本作のみの単発で終わったが、正に神が宿った瞬間だった。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ - スーパー・ベスト!!(ホワット

スーパー・ベスト!!(ホワット

80年代から様々なジャンルとロックを融合し、ようやく形になってきたベスト盤。
ハイテンション・マシーンと化した本作もパンク的なノリで攻めて来る。
歪んでうねるベースと爽快なロックンロールが炸裂する。
ジミヘンのカバーもレッチリ色に染まり、お構いなしにオルタナ・モード全快で心地良い。
これが本来のパンク・ストラクチャーだと思う。
最近は大人なロックに落ち着いて安定してはいるが、無心に突っ走って汗水垂らした90年前後のソリッドなレッチリを堪能できる。

Soft Machine - Third

Third

サイケ路線を丸投げして本格的なプログレッシヴへと移行した作品。
何となく初期のピンク・フロイドと経緯が似通っていると思う。
内容はコンセプト化したジャズをタイト且つ自由に演っている印象だった。
複雑な構成はクラシックよりであるが、何度聴いても違った視点や感情で聴ける利点は彼ら特有のものだろう。
個人的にはインストのみでも良かったと思う。
円やかな緩急術は天性のものだろう。
未知なる境地へトリップしそうだ。

2011年2月1日火曜日

Metallica - Master of Puppets

Master of Puppets

彦摩呂風に表現すれば「リフの玉手箱や」・・・。
それはさておき。
スラッシュの革命児は楽曲のクオリティを上げ進化していく。
分岐点と云わざるを得ない本作だが、決してスラッシュを否定するのではなく彼らの目指すモダン・ロックが描かれている。
クリフ・バートン在籍時の貴重な4ショットも有難い。
それでも特攻スラッシー・ワールドは健在であり、へヴィでゴリゴリ感あるリフと劇的な展開を遂げる構成力は天才の域だと云っても過言ではない。
現代のラウド・シーンが発展しているのも彼らの努力の賜物なのである。
その創始者達の黄金期であった名作集。
ラーズ・ウルリッヒ、ジェームス・ヘッドフィールドの最強クリエイター達による最高の美学メタルがここにはある。

Arrested Development

Zingalamaduni

アシッド、R&B、ダブ、ファンクなど様々な音楽をかき混ぜた多国籍ヒップホップ・バンドのデビュー・アルバム。
根底はアフリカン・ミュージックなのだろう。
分析しなくても自然と体感できるメロディーとリズム感。
時代背景が浮かび聴き手独特の感性で浸れる心地良さがある。
素晴らしい作品が正当に認められるというアメリカ社会の背景を感じる。
全体的に静が支配し、その中で徐々に変貌していく展開が素晴らしい。
ダレやすい中盤にシリアスでスリリングな世界が途切れることなく波状攻撃してくる感覚だった。
音楽の魅力が凝縮された傑作集だった。

Haven - Between the Senses

Between the Senses

美しく悲しいポップ・ミュージックが錯綜する。
彼らの世界に惹きつけられる見えない非物質。
溢れ出す才能、潜在意識すらも揺れ動かす感覚。
円熟味という言葉で片付けると後が無いようにも思えるがそうではない。
研磨すればモンスターにも成れるスペクタクル・ポップ。
初期レディオ・ヘッドやmogwaiの世界に近い。
佳作以上に訴えかける何かがある。
悲しい泥沼世界に浸かりたい方にはお勧めの作品だと思う。

Symphony X - The Divine Wings of Tragedy

Divine Wings of Tragedy (Spec) (Dig)

ラウド・ミュージックに支配され衰退したバカテク軍団。
ドリーム・シアターをもパクり何でもありの典型的な失敗作だった。
モダン志向はボーカルへも飛び火し、過去のスタイルそのものも消し去っていく。
テクニック志向の方には最高の掘り出し物なのだろう。
格好いいリフも強引に接着剤で繋ぎ合わせたかのようでアンバラスと化す。
正直裏切られた感が否めない。
前作が際立っていた為、期待度も大きかった。
長編⑧も惜しすぎる。
クリエイターと聴き手の間に誤差が生じた極めて悪い例だろう。
金儲けと進化は紙一重というよりセンスの問題なのか。
彼らは何を求めていたのだろうか。疑問だ。

Amorphis - Elegy

Elegy

予想通りメロ・デスの最果ての地へと到達した。
最早デスの要素はデス声担当のボーカルの存在のみになってしまった。
無駄な贅肉を根こそぎ落とす必要はあるが、名曲『Elegy』を活かす為には捨て曲も必要なのだろうか。
トータル的に見れば前作のほうが可愛げがあった感じもする。
インタビューで語っていたように70年代のプログレを彷彿させる。
80年代AORなども取り入れ、過去の先人達の手法などを事細かく表現している。
悪く云えば古臭いのだが、その古臭さもAmorphisワールドに自然と流動しているところが素晴らしい。

パンテラ - 鎌首

鎌首

過去の3作品で全てのエネルギーを使い果たしたような印象を受けた。
それでも佳作級の楽曲をコンスタントに作れるところは恐れ入る。
ラウド系を追求し厚みを出すためにフィル・アンセルモの咆哮がやや消化不良気味だったと思う。
怒りを攻撃作用としてきた黄金期、未来に何を求め表現していくのか。
要は怒れる大人であり続けれるか?と拷問したくなる。
本作においては迷いが生じて、少々中途半端だったと思う。
エモーショナルとセンスが最大の武器であったが、新たなヘヴィ・メタルを追い求めるあたりは評価すべき点ではある。