2011年2月27日日曜日

The Beach Boys - Pet Sounds

Pet Sounds  [from UK] [Import]

The Beach Boysの1966年発表作の13枚目のアルバム「Pet Sounds」である。
間違いなく60年代ポップ・シーンに革命を起こした作品に間違い無いと思う。
よくThe Beatlesの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」と比較されているし、ポール・マッカートニーも後のインタビューで認めていた。
団塊世代の青春ソングと称されてもおかしくない。
しかし現代ミュージックのルーツ、開拓者達の芸術ワールドに圧倒されることだろう。
80年代に翻弄され辿ってきた軌跡、そこには輝かしい本家達のポピュラー・ミュージックが存在した。
本作はその一部であり、消し去ることのできない歴史に残るサウンドだ。
癒し系コーラスと濃厚なポピュリズム、軽々しく論ずることは出来ない。

SLAYER - Diabolus in Musica

Diabolus in Musica

スラッシュ四天王であるSLAYERの7作目のアルバム「悪魔の鎮魂歌(レクイエム) - Diabolus in Musica (1998年)」である。
ベースは既存の突出性なスラッシュ・ビートが交差していた。
しかし漬物程度のお供え物とばかりにヒップ・ホップを取り入れていたことに驚いたのが第1印象だった。
一瞬ではあったが、奇跡のコラボを堪能できた。
華やかだった90年代初期、そして進化論を問われる本作。
少々、ギアチェンジしたものの基本的に何ら変わってない。
軸を振らさずに制限されたコード進行で、これだけのダイナミックな表現をできるとは圧巻だ。
SLAYERには衰退論なんてありえないのだろう。
怒れる大人と云うより、メッセンジャーなのだろう。
溢れ出すエモーショナルが堪能できる。
毎回違ったアプローチで圧倒するエネルギッシュなサウンドが素晴らしかった。

2011年2月22日火曜日

Black Sabbath - Heaven & Hell

Heaven & Hell

80年代初期に流行したしテクニック志向に溺れた中で後期の作品で唯一賛同したアルバムだ。
初期のオジー・オズボン時代を知るファンには納得できる内容ではないと思う。
しかしロニー・ジェームス・ディオのパワフルな歌唱力のみで全てが打っ飛んだ。
佳作レベルの楽曲をロニーの存在感のみで名作に仕上がった印象が強い。
本作は賛否両論的で、個人個人で評価は違ってくるだろう。
オジー論を出すのはフェアではないが、やはりBlack Sabbath名義である以上は初期を継承して欲しかった。
時代柄とは云えトニー・アイオミの感性と聴く側の感性にズレが生じたようにも捉えられる。
個人差はあるだろうが初期と比較するとインパクトが欠けていた。

WHITE ZOMBIE - Astro Creep: 2000

Astro Creep: 2000

恐怖政治とコントを混合させたかのような爆裂ぶりなWHITE ZOMBIEの秀作。
インダストリアル・ハードコアと形容するしかないのだろうか。
ジャケ裏面の珍獣が全てを物語っているように想えてしまった。
ユーモラスとスリリングが対極の異次元空間で衝突しあい、独特のポテンシャルで纏めあげる秀でたアート集みたいだ。
笑いと恐怖の世界から発作する陶酔の美学。
制御されたミュージックというよりも、爆発しまくった芸術だろう。
何故か改革者達には何か神がかったような凄まじいエナジーがあるのが不思議だ。
それが初期衝動なのかもしれない。
捨て曲が少々目立ったが、それでもこのカリスマ性のような攻撃性はさすがの一言だ。

Stratovarius - Fourth Dimension

フォース・ディメンション

ティモ・トルキ率いるStratovariusの4作目のアルバム。
個人的にはイングヴェイ・マルムスティーンの枝分かれ戦士にしか思えなかった。
本家が怒るのも無理はないはず。
前半はティモ・トルキのテクニカル自己満足世界でトーン・ダウンしてしまった。
ただテクニック信者には共感を得れる内容だったとは思う。
音を楽しむから音楽であって、それは創作側と聴き手で悪い誤差があってはならない。
後の作品で彼は某雑誌にブチギレたが、そのレビュー内容は本作へも訴えかけているようだ。
ただし、後半は素晴らしい楽曲が揃っていたのは救いだった。
批判するのもティモ・トルキが才能あるソング・ライターであるからだ。