2011年1月30日日曜日

The Beatles - Rubber Soul

Rubber Soul (Dig)

最早、古臭いと形容できない現代ミュージックの定義を創ったスーパー・バンドの革命的作品である。
初期のアイドル的な恋愛ソング路線から、本作から様々な要素を取り入れギアチェンジしている。
壮大なオーケストラなど無くとも、シンプルで優れた名曲が満載である。
20代前半の若きジョン・レノンとポール・マッカートニーは更なる進化を追い求めている。
『girl』、『michelle』など異色なサウンドも取り入れる鋭いセンス。
ロックと程良いサブ・ポップが調和している。
Beatlesはシングル・カットも素晴らしいが、それを支えるエキストラ曲(B面)の方が個人的には輝きを放っていると思う。

Soundgarden - Down on the Upside

Down on the Upside

ロニー・ジェムス・ディオ在籍時のブラック・サバスと比較しがちだが、最初の2曲は初期(オジー・オズボン在籍時)の頃を彷彿させる。
サウンドは暗黒ダウナー路線から脱却し、比較的キャッチーになったと思う。
しかしどっぷり浸かったようなワウ、精神世界、非ポピュリズムと無機質なサイケ色は薬物をも彷彿させる。
サイケデリィック・ロックに相応しいリズム、音質、アティチュードは個性の一つではある。
だが本作でキム・テイルのヘヴィ・メタル志向に嫌気がさしクリス・コーネルは脱退する。
オルタナティブと60、70年代のサイケイズムは精通している証なのかもしれない。
個人的には「Superunknown」よりも本作のほうが佳作が揃っていて好きだ。

Dissection - Storm of the Lights Bane

Storm of the Lights Bane

ビジュアル系4人組ナルシスト軍団。
ブラックメタル特有の凶暴的な話題性の為にジョン・ノトヴェイトが殺人を犯し活動休止となった。
しかしそれだけで片付けられない際立ったミュージックが本作にはあった。
クラシックのような構築美と北欧特有のメランコリー・ワールド。
孤独、恐怖、暴虐を想像させるような残酷なヘヴィ・リフとキャッチーなメロディが交錯する。
まるで彼らの内面をリアルに表現しているみたいだ。
プログレッシブ並みの展開に、荒れ果てた境地と光の世界が見え隠れするバランス感覚が素晴らしかった。
短所はバスドラにディストーションを浴びせまくり、全体がエコーに包まれたような悪音質が痛かった。

Orgy - Candyass

Candyass

80年代グラム/インダストリアルを進化させたOrgyの衝撃のデビュー作。
ヘヴィなシンセサイザーが全体を統率し、コンピュータに支配されたノイズ・グルーヴが躍動する。
デジ・ロックとは何か違うような不合理で陰鬱なニュー・ミュージックに酔いしれてしまう。
個人的には、懐かしさが漂うテクノ臭な『Candyass』、『Gender』に填ってしまった。
Kornのジョナサンが見出したとは言え、全くリンクする要素がないのに、妙にアティチュードが類似しているように思える。
90年代のMarilyn Mansonとビジュアル系として比較的似通っていると思う。
終生のフェイバリットとは云えないが、鮮烈さでは際立っていた。

松井常松 - よろこびのうた

よろこびのうた

元Boowyのベーシスト松井常松の1stアルバム。
硬派なダウン・ピッキングが懐かしい。
Boowyとは無縁のような美麗なポップ・ワールドが炸裂する。
無名の女性ボーカリストが放つ孤高な世界は凄まじかった。
クラシックとボサノヴァの要素をも取り入れ、松井のソング・ライターとしてのポテンシャルの高さも覗える。
心に響き渡るようなアンビエント・ミュージックに終始圧倒されてしまった。
エンヤの世界に近いと思う。
素晴らしい傑作だ。