2011年1月22日土曜日

Slayer - Reign in Blood

Reign in Blood

文句なしのアレンジ力と曲構成だった。
切れのある鋭いリフが次から次へと洪水のように押し寄せるようなダイナミックさが圧巻だった。
フェード・アウトしたと思ったら、新たな展開へと吸い込まれる。
ミドルで攻めたら急にトップギアに入れ替わる、まるでボクシングのような殴打。
プログレの手法にも似たような術をスラッシュメタルで表現し、ドラマティックになりつつもタイトに纏め上げられている。
デイブ・ロンバートンのドラミングも注目だろう。
現在でこそバス・ドラ主体ではあるが、手数勝負のこの人だからこそ味わえる緩急術。
神が宿ったとしか思えない。

氷室京介 - NEO FASCIO

NEO FASCIO(紙ジャケット仕様)(CCCD)

邦楽ロックを築きあげた功労者。
氷室京介の2ndソロ・アルバムである。
個人的にシングル・カットはポピュラー過ぎて納得いかないが、やはりBOOWY時代からのソング・ライティングは衰えていない。
独自のビジュアル・ロックの中でニュー・ウェーヴなどの要素が入り混じり、それが大人なロックへと成り上がっている。
氷室の描く向こうには何となくデヴィッド・ボウイが見えているように思えた。
ロックをあらゆるアプローチで変幻自在に表現できるクリエイターとしての資質も流石だ。

Entombed - Uprising

Uprising

進化していく一つの策として、デス・メタルを脱却することが妥当な選択なのだろうか。
デス・メタルの英雄達も現状維持か、上記の方法で生き残りを賭けて多くのバンドが消え去っていた。
彼ら(今作)はルーツを追っての表現法だったと思う。
シンプルで打っ飛びまくりの爆音へヴィ・ロックが炸裂する。
フィル・アンセルモのDownを彷彿させるが、こちらも負けていない。
迷いなどなく、純粋に彼らが影響を受けたロックを彼らの土俵で表現している。
そういう衰退していくデス・メタル勢に不満を覚えるかたにはお勧めの作品だと思う。

Paradise Lost - Draconian Times

Draconian Times

芸術ゴシックの英雄、パラダイス・ロストの名アルバム。
グレゴア・マッキントッシュの濃がある唯一無二のエフェクトは暗くて悲しい世界観を生み出している。
重厚でゆったりとしたミドルテンポの曲が主で、メッセージ性を強調したパワフルなゴス・ロックが堪能できるだろう。
ダーク一色だが、そこに光と陰がうねるように交差していくような不思議でキャッチーなメロディが印象的だった。
ゴシックの老舗シスター・オブ・マーシーのカバーは不要だろう。
歴史に残る名作に間違い無い。

イン・フレイムス

ザ・ジェスター・レース

当時のデス・メタル盤アイアン・メイデンとの歌い文句も懐かしい。
しかし10数年以上経て聴き返すと、これがイン・フレイムスだと云わしめた作品だと思う。
デス声が利点となり楽器群が自由に幅広く躍動し、メローでキャッチーな暴美メタルはグローバルな領域へと進化した。
特に際立つのがツイン・ギターの歪みとハモリだと思う。
重厚なリズムギターがソリッドなリフを展開する。
第二次メロデスの立役者だが、個人的には本作が彼らの最高傑作だと思う。
プログレ・メタルにも匹敵する構築美は鮮烈だった。